【安倍元首相の国葬をめぐって】国葬以外の国民葬、合同葬という方式も実はあった!
はじめに
先日2022年9月27日に日本武道館にて安倍晋三元首相の国葬儀が執り行われました。
この国葬をめぐっては様々な賛否両論があり、連日のように国葬反対のデモや主張がなされてきました。
国葬反対の声があったがそれは完全無視という形で強行されました。
国葬を機に昔の国葬について少し調べてみましたのでよかったら最後まで御覧ください。
戦前の国葬
戦前は頻繁に国葬が執り行われていました。ですから反対するという人も当然いなかったわけで、それが国費で賄われていることも国民はよく理解していました。
なぜなら当時は国葬令という法律が定められていたからです。
・岩倉具視
・伊藤博文
・山県有朋
・松方正義
です。
これだけの人たちが国葬によって弔われてきました。
ではなぜ今回の安倍首相の国葬は反対の声が多かったのか。
当然、戦後になって国葬令が廃止されたからです。法律に基づかず、ある意味岸田首相の独断と偏見によって国葬をやると言い出したからです。
まあ、安倍首相が普通に老衰や病気で亡くなったということであれば多分国葬はやらなかったと思います。
しかし亡くなりかたが、銃によるテロ的行為で殺害されたからでしょうね。
突然の死が混乱をもたらし、憎悪の気持ちや悲しみの気持ちが出て、それに報いるようなことを何かしたいと思ったから、国葬をやろうという話になったのですね。
そういったことに関しては与野党からも批判が出ていて、実際国葬が終わったあとに日本維新の会や立憲民主党から国葬を行うときの基準の法律などを作るよう、法案提出を行うと表明しています。
国葬令という法律
さて、では戦前まで運用されていた国葬令とはどんな法律でしょうか。それを見ることで今回の日本維新の会などが提出する法案の是非が見えてくるかもしれません。
条文↓
勅令第三百二十四号
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ経テ国葬令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
嘉仁 裕仁
陸軍大臣 宇垣一本
海軍大臣 財部彪
文部大臣 岡田良平
内務大臣 濱口雄幸
遞信大臣 安達謙蔵
司法大臣 江木翼
大蔵大臣 片岡直温
鉄道大臣子爵 井上匡四郎
農林大臣 町田忠治
商工大臣 藤澤幾之輔
第一条 大喪儀ハ国葬トス
第二条 皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃及攝政タル親王内親王王女王ノ喪儀ハ国葬トス但シ皇太子皇太孫七歳未満ノ殤ナルトキハ此ノ限ニ在ラス
第三条 国家ニ偉勳アル者薨去又ハ死亡シタルトキハ特旨ニ依リ国葬ヲ賜フコトアルヘシ 前󠄃項ノ特旨ハ勅書ヲ以テシ內閣總理大臣之ヲ公󠄃告ス
第四条 皇族ニ非サル者国葬ノ場合ニ於テハ喪儀ヲ行フ当日廃朝シ國民喪ヲ服󠄃ス
第五条 皇族ニ非サル者國葬󠄂ノ場合ニ於テハ喪儀ノ式ハ內閣總理大臣勅裁ヲ經テ之ヲ定厶
大事なのは後半の文章のところですね。
第五条まであり、それぞれで国葬について説明しています。
第一条は大喪儀という、天皇や上皇などの葬儀のことで、それは国葬で執り行いなさいという条文です。
第二条は第一条と同じく皇太子や皇太子妃なども国葬でやることという趣旨です。
第三条は国会に多大な功績があったものを国葬するという趣旨です。
第四条は皇族ではないの国葬の場合は、廃朝といって天皇が政務を行わないこととしています。そして国民は喪に服すこととしています。
第五条は国葬を行う場合は内閣総理大臣が天皇の許可を得ることと定められています。
このようにたった五条の条文ですが、これによって皇族ではない6人の方だ国葬されています。
基本的には第三条の条文を参考にして国葬を行うのですが、実際には旧薩長の人で明治政府に多大な功績をもたらした人や、大臣経験者であっても、国葬を行う指標になっていました。
戦後の国葬
さて戦後は国葬令が廃止され本来であれば国葬は一度たりとも行われないはずです。
しかし行われた方が二人います。
安倍首相はともかく、吉田茂首相はなぜ行われたのでしょうか。
吉田茂は戦後処理を懸命に取り組み、戦後復興の先駆けの土台を作った方でした。
戦前においても、外交官として牧野伸顕(大久保利通の弟)と中国で20年間にわたって活躍し、米内光政内閣で厚生大臣、小磯国昭内閣で軍需大臣として貢献したりしていました。
そんな姿をそばで見ていた佐藤栄作内閣のとき、1967年10月20日になくなり、佐藤栄作はどうしても国葬をしてあげたくなり強行し、その月末10月31日に国葬をおこないました。
国民葬
そして、そんな栄作も亡くなりました。
その本人は国民葬という方式で葬儀が執り行われました。
国民葬とは、その名の通り国民の有志によって葬儀が執り行われました。
ただ、国民の有志でできるわけもなく、内閣と自民党も資金を出しています。
国民葬では、佐藤栄作の他に、大隈重信も行われました。やはり国民に慕われていた大隈らしいですね。
合同葬
合同葬とは内閣と自民党の合同で資金を出すのでそういう名前になっています。
合同葬で行われたのは、小渕恵三、橋本龍太郎、宮澤喜一、中曽根康弘、幣原喜重郎、三木武夫とたくさんいますが、意外に知られていませんよね。
今回の国葬の意義
さーて今回のいちばん大事な部分、なぜ岸田首相は国民葬や合同葬という方式がある中で国葬を執り行ったのでしょうか。
国費で何億円もかけてやる必要とはなんでしょうか?
それはおそらく安倍晋三が憲政史上、最も首相歴が長く、外交に大きな役割を果たしたからでしょう。
吉田茂や伊藤博文、桂太郎など錚々たる歴史上の人物よりも首相歴が長いのは本当に評価すべき項目だと思いますよね!
またこの首相歴8年弱の期間で、世界でも権威の高いアメリカのトランプ大統領とも仲良くし、50回以上も日米首脳会談を行った功績は評価できます。
そんな安倍首相の喪に服したいと海外から多くの首脳がやってくるという外交の狙いも岸田首相にはあったのですね。
結果的には1万人以上の国民が花を手向ける結果となりとても良い国葬になったのではないかと思います。
安倍元首相、安らかにお眠りください。お疲れさまでした。